現在の日本の企業にひろく行きわたっている雇用や賃金の制度、また、人材の育成や管理のしくみなどを調べてみると、その多くは第二次大戦後とりわけ一九六〇年代から一九七〇年代にかけての高度経済成長期を経て定着したものであることがわかる。これらの制度の歴史的な淵源は戦前あるいは日本の工業化の初期にまでさかのぼれるものがあるが、日本の企業社会、産業社会にこれらの制度がひろく普及し定着したのは高度経済成長時代を経てからである。
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経済の高度成長が二〇年近くも持続したという事と、日本の人口構造が若くて若年労働力の豊富な供給があり、また、日本経済がアメリカなど先進国に対してキャッチーア。プするという発展段階にあった事などが日本企業の制度やしくみを形づくるうえで大きな規定要因となった。企業が急速にしかも持続的に成長したので、労働力需要はつねに拡大しつづけており、人々はひとたび企業に雇われれば解雇されることなど考える必要がなく、いつの間にか定年までの終身雇用は当然保障されているという観念が醸成された。増大する労働力需要を満たすために企業はつねに新たな労働力を補充する必要があったが、人口構造が若く、若年労働力の供給は豊富だったので、企業は学生が学校を卒業すると直ちにこれを新規学卒労働力として定期的にしかも大量に雇い入れた。